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◇ 投稿記事 ◇ JI1MDZ -54-   
「手旗棒を用いた逆Vダイポールアンテナ」の自作    
2021.9.8 JI1MDZ 伊東
◆自作の切っ掛け

鷹取山の東屋付近から東京方面の撮影
鷹取山の移動運用の時にIC-705に直接長めのロッドアンテナを取り付け交信している局長さんが居ました。ロッドアンテナの入手先を聞いたらamazonからの購入でした。

ところが、購入品の名称を聞きましたら何と”手旗棒”??でした。

早速、自宅で調べたら1本367円と格安で長さは155cmです。amazonでロッドアンテナを検索すると一番長くて118cm 975円でした。

検索の語句を工夫すると意外と欲しい物が見つかった事例ですね。


    
<ご参考>:手旗棒は旅行ガイドさんが先頭してツアー名称或いは旅行会社名の旗を棒の先に取り付けて引率している旅行客に見えるようにした伸縮式の棒です。(材質は黄銅にニッケルメッキでロッドアンテナと同じです。)

◆自作の開始
長さ155cmなら6mのダイポールアンテナの波長に近く6mの移動運用に最適と思いました。アンテナをバックに入れて持ち歩くためには収納時は2本を平行に収納、アンテナとして使う時は広げ、角度も固定出来る部品を探す必要がありました。このため、このような機能を持った部品を探しにホームズに行き隈なく探しました。

本来の部品の使い方ではないので店員さんに聞く事も出来ません。(店員さんにアンテナの話は無理ですね)

見つけました!! 
水道部品コーナーにレバーの位置が自由自在に変えられる部品です。名称はプラクランプレバーです。この部品の本来の使い方はどの様な場所で使うのか全く解りませんが自分が探していた機能にピッタリです。
プラクランプレバーの使い方は黒いネジの頭を親指で押さえオレンジ色のレバーを上側に引くとレバーが自由に回転します。指を離すとその角度で停止しロックされます。

早速購入して回転角度のピッチを調べました。写真のようにギヤー構造になっていてギアーの頭の数は24個あり360°/24=15°の間隔でした。
逆VアンテナのDPの開き角度が120°でインピーダンスは50Ωとなりますので120°の角度(15°x4=片側60°)にピッタリと合います。

次にこのプラクランプレバーを固定する部品をホームズの中で探し、塩ビパイプの”TS継手チーズ”と書かれた部品が使えそうなので購入しました。このチーズの両端に穴加工を行い裏側からナットでプラクランプレバーを固定します。中央にBNC端子を取り付けました。

運用時にはアンテナが60°づつ開きますのでアンテナへの接続線はフレキシビリティを持たせるためオーディオ用のシールド線の外被銅線を使い熱収縮チューブを用いて保護しました。



【備考】アンテナの角度120°でインピーダンスが50Ωになる資料はサガ電子工業資料から参照しました。

次に1:1のバランの製作に取り掛かりました。しかし、バランの製作で予想外の問題に直面しました。
手持ちのノイズフィルター用のトロイダルコアーを使い50Ωの負荷抵抗に接続してSWRを測定すると3以上で下がりません。

手旗棒を教えてくれた局長さんに聞いたらフィルター用のコアー材質は透磁率が大きくノイズフィルターには適しているがバラン用には使えないと言われました。

局長さんから余っているコアーを1個譲り受けSWRを測定したら1.2以下に下がり問題解決しました。
因みにバラン用のトロイダルコアーはアミドン社製のカーボニール鉄ダスト材が適しているようです。


◆自宅ベランダでの試験測定
移動運用の動作確認の前に自宅のベランダでSWR測定と実際に交信が出来るのか試して見ました。

ベランダでは50.2MHzでアンテナの長さ1.34m,SWR1.5以下となりほぼ満足の結果でした。(サガ電子工業の資料では正確にSWRを測定するには50MHzではλ/8=0.75m以上他の建築物との距離が必要と記述されています。


私の場合はアンテナの先端がベランダの手摺りに近い状態ですのでSWRは正確ではないようです)アンテナを広げて気がついた事は120°の角度治具を予め用意する必要があり作成しました。(写真:下左側)


交信出来た局はJA2とJA7の局でした。

アンテナの収納寸法を示します。(写真:下右側)

120°の角度治具

アンテナの収納寸法
◆フィールドでの試験測定
鷹取山の東屋の周辺の柵に2.7mの釣り竿を加工したポールを立てバラン材を戴いた局長さんにNanoVNAを用いてSWRを測定して戴きました。

中心周波数50.2MHzアンテナの長さ1.39mでSWRは1.05でした。画面の1SPANは2MHzです。
ロッドアンテナの根元の直径は10.6mmと太いのでリード線のアンテナと違いアンテナの共振点がブロードになっているような気がします。角度と長さの寸法測定を省くため、実際の運用では角度治具とアンテナの長さ方向にマジックでマーキングしました。

ベランダでも何とか6mに出られるようになり、移動運用も気軽にダイポールアンテナで交信出来るので無線の楽しみが増えました。
  【2021.9.8 JI1MDZ 伊東 記】

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