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ATU-100の製作 (7N4LXB池田さんの製作レポートに続いて:その2)
JH1OHZ片倉由一
<はじめに>
 オートアンテナチューナーATU-100は7N4LXB池田さんがキットを製作・動作確認して本ホームページに紹介されていますが、丁度CQ誌別冊QEX(2022.03春号)No.42にも紹介されており、私も興味をもったところで、早速作ってみることにしました。
 自作のケースに入れて、シャック内でテストしたところ、まずまずの出来具合を達成できたので、紹介します。今後は屋外でいろいろなアンテナで試してみたいと思っています。
<キットの調達>
 ATU-100の開発は米国N7DCCよりますが、ライセンスはどうなっているかよくわかりませんが、中華製キットが多く出回っているようでAmazonでは4,000円台からで、完成品は10,000円程度です。Aliexpressからキットを買えば2,700円位で買えるようですが、どちらかというと格安品は半月か、それ以上の比較的納期がかかる感じです。私はAmazonで翌日届くという、キットの中では4,580円の高めの価格でしたが、「翌日届くということは在庫があるので、確実なものかな?」などと考え、即注文し、翌日配達されてきました。国内で部品だけ調達しても4,000円では到底そろえることはできません。
 仕様としては1.9MHz~50MHzまで、最大電力は100Wまでとなっていて、”本当に”と思うようなコスト・パフォーマンスです。 ただし、メーカー製のATUのようなチューニングした時のメモリー機能はありません。使うアンテナやタイミング毎にチューニングする必要があります。
<キットの制作>
 キットはAmazonの封筒で玄関先に置かれて届けられました。写真1は開封した状態です。キットを製作するためのマニュアル類は全く付属していません。7N4LXB池田さんの製作紹介ページに、製作関連資料のURLがありますので、必要な資料をダウンロードして、自分なりに理解した上で作る必要があります。
 ただし、インターネットの検索サイトで「ATU-100」で探すと、複数の製作記事がありますので、それも参考にしてください。
 ちなみに、半田コテだけはフラットパケージのICの半田付けが出来る程度のコテがあればベストですが、コテ先が細く、きれい、およそ18W程度で、リーク電流が極少ないものがお勧めです。マイコンとチップ部品は基板に既に取り付けられていましたが、細い部分の半田付けは必須要件です。

【写真1】
<コイル作り>
 空芯のコイルはΦ4mmやΦ6mmの内径で作りますが、共にドリル刃の軸部分を使うとうまく巻けます。ここでは密巻きでコイルを作ります。
 トロイダルコアにはΦ0.8mmのエナメル線を巻きますが、ダブつかないようにきっちり巻きます。空芯のコイル共、基板取り付けの足(リード部)のエナメルを剥がしておきます。
 全てのコイルを付けた後に、コイル周辺のリレーを取り付けます。ここで、トロイダルコアのエナメル線がダブついていると、後からリレーがうまくつかないことになります。基板パターン上、トロイダルコア+エナメル線の外径と、リレーの位置がギリギリですので、注意が必要です。
<センタ・トランス>
 メガネコアによる方向性結合器で、進行波と反射波を検出します。メガネコアの左右は対称に巻きますが、キットの標準では10巻きですが、QRPを主に使う場合は5巻きして、あとからマイコンのプログラムを変えることで低電力での検出と電力表示も可能となるようで、7N4LXB池田さんはそのようにしていますが、私は標準仕様でセンタ・トランスを作りました。室内のダミー負荷では1.9~50MHzまで5Wと2.5W出力でも動作しました。しかし、屋外でのいろいろなアンテナではこのようにいかないかも知れませんが、5Wなら間違いなくチューニングできそうです。
<その他半田付け> 
 マイコンとチップ部品は既についていますので、あとは、電解コンデンサ、ダイオード、電源3端子レギュレータ、表示部接続用ピンを半田付けします。
<マイコンの動作確認>
 一通りの部品取り付けが終わったら、基板に表示部を接続し、表示するか確認します。電源投入時の最初の画面にはATU-100と開発者のN7DDC、Ver表示がされます。瞬時に画面が切り替わり、写真2のような通常時表示画面になります。この表示でマイコンとプログラムが正常に動いていることがわかります。

【写真2】
<自作ケースと部品配置>
 自宅に未使用の“タカチ製”の樹脂ケースがあったのでそれを使うことにしました。20×11×6cmで底はアルミ板ですが、底のアルミ板は使わず、樹脂板に変えました。樹脂に拘ったのは、バーチカル系やロングワイヤーで使う場合は、ATU内のコイル(L)やコンデンサ(C)が単にインピーダンス変換機能だけでなく、ベースローディングとして働きますが、シールドケースではベースローディングにならないからです。

 正面にはTUNEボタンと、AUTOボタン、BYPボタンと表示部の四角い穴をあけました。表示部の保護と見栄えのために、緑色の透明な下敷きを切って使いました。この緑色の透明下敷きは昔2ndが使っていた?学習用の緑と赤のセット下敷きが文具引き出しの中にあったのでこれを使いました。(表示部は少し青色ですから、赤だと消えてしまいました。)
 RFの入・出力端子用として、キットにはSMA(基板取り付け用)コネクタが2個ありましたが、ケースに入れることを考え、SMAコネクタは使わず1.5D-2V経由でM型(メス)コネクタに接続しました。さらにRFの出力側にはM型だけでなく、バーチカル系やロングワイヤー用に、ターミナルとアース端子を取り付けました。ここでM型(メス)は周波数特性のよい誘電体がテフロンの少し高いものを使用しました。2個で1,200円しましたが、それでもキット製作の部品代の合計は5,780円で格安です。
 また電源ラインには3.5φDCプラグを使いました。
 コモンモードループが発生した場合のATUの誤動作防止のため、基板のDC(+と-)部とRF入力部にフェライトコアFT-50-43を取り付けコモンモード低減を図りました。

 最後に出来上がった状態を写真で紹介します。写真3は全景、写真4はケース前面、写真5はケース裏面、写真6はケース内部です。各局も制作される場合は、ケース作りも個性を生かしていろいろ工夫してみてください。

【写真3】全景

【写真4】ケース前面

【写真5】ケース裏面

【写真6】ケース内部
  【2022.03.18 JH1OHZ 片倉 記】

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