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◇ 投稿記事 ◇ JA7UIO  -72-    
ATU-100のアンテナ直下型仕様への変更(続編)  
JA7UIO/1 山崎 
前回までの経緯
 6月26日に投稿させていただいた「ATU-100のアンテナ直下仕様への変更」では、ATU-100を防水ケースに入れてベランダに設置し、同軸ケーブルからの給電により動かしました。当然ですが、手元にスイッチが無いためATU-100の操作はAUTOモード固定で使用したのですが、SSBなど出力が変動するときに「勝手にチューニングを始める」という問題が発生しました。ATU-100ファームウエアの対策を模索しましたが、そもそもAUTOモード固定での使用は無理が有ったと考えるに至りました。(もっと早く気づくべきでしたが・・Hi)

 抜本的な対策としてATU-100はMANUALモードに戻し、手元からリモートでチューニングボタンをコントロールする方法を検討し、うまく動作しましたのでご報告いたします。
 
どうやってコントロールするか?
 同軸ケーブルとは別に専用のコントロールケーブルを増設するのが確実なのは間違いありませんが、私としては同軸ケーブルのみでの「給電&コントロール」にこだわりたいと思いました。ATU-100のヘビーユーザにはBluetoothでコントロールしようとしている人もいるようですが、できる限りシンプルな方法が無難と思い、色々検討した結果次のような方法を採用しました。

TX側(BIAS-Tee UNIT)
 定常時の電圧をダイオード(×2個)の電圧降下で低下させ、チューニングするときにプッシュスイッチを押すことでダイオードの両端をショートし、電圧を13.8Vに戻します。この電圧変化をATU側で検出できればリモートコントロール可能になるはずと考えました。

【TX側BIAS-Tee UNITの追加回路】
ATU側(ATU-BOX)
 ATU側の回路は無料で使える回路シミュレーションソフトLTspiceを使って試行錯誤の末、以下のような回路に落ち着きました。

【ATU-BOX側の追加回路】

 BIAS-Tee UNITのプッシュスイッチが押されると上記回路図のV1電圧が上昇します。この変化をC1によって検出し、その後、倍電圧整流してQ1をドライブします。この回路をシミュレーションすると以下のようになりました。プッシュスイッチを1秒間押したと想定したシミュレーションで、電源電圧の変動に同期してQ1のコレクタ電圧が5Vから0V付近まで低下しているのがわかります。(0.5秒付近から電圧が上昇していますが、ATU-100の動作に影響しないと考え、無視することにしました。)



【シミュレーション結果】

BIAS-Tee UNITおよびATU-BOXの改造
 BIAS-Tee UNITの改造はダイオード2個とプッシュスイッチの追加のみです。元々あったパイロットランプを外し、そこに自照式スイッチを挿入しました。実質的な追加部品はダイオード×2個(たまたま有ったジャンク品)のみです。

【BIAS-Tee UNITの改造】
 ATU-BOX側の改造はちょっと部品数が増えますが、元々あったスイッチ基板の隙間になんとか実装することができました。

【ATU-BOX内の改造】

トラブル対策
 シミュレーションで確認済みなので、今回はすんなり動いてくれると思ったのですが、甘かったです。ATU-100の電源をONするとフィーダーロスの設定モードになり、通常の画面が表示されません。ATU-100のソースコードを調べると、TUNEボタンを押したまま電源ONするとフィーダーロスの設定モードになることがわかりました。

 今回追加した回路が電源ON時にON状態になっているようです。シミュレーションで確認したのは定常状態のみで電源ONの過渡的な状態は未確認でした。このための回路変更は面倒なので(どう変更すればいいのか想像もつきませんが・・Hi)手っ取り早くソースコードを変更してフィーダーロス設定モードに移行しないようにしました。


【BIAS-Tee UNITの完成写真】
まとめ
 アンテナ直下型ATUは色々回り道しましたが、手元のボタンでベランダのATU-100をコントロールできるようになり、安心して?使えるようになりました。同軸のみの接続にこだわったのはベランダへのケーブル引き出し口が狭いということもありますが、移動時にも同軸のみの接続だとラクですし、ケーブルを忘れることもありません(たぶん Hi)
 今回の改造とは関係ありませんが、ATU-100がまともに使えるのは7MHz以上と思っていたら3.5MHzでもSWRが下がるようです。アパマンハムにとっては夢の3.5MHz帯での初QSOになるかも知れません。
  【2022.07.18 JA7UIO 山崎 記】

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