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◇ 投稿記事 ◇ JI1MDZ -74-   
“フォトセンサーを用いた無接点パドルの自作”    
◆特徴:
・フォトセンサーを用い光の遮断を利用してリグの電鍵回路をON,OFFします。
 この方法により金属の接点が無くなり定期的に接点を磨く必要がありません。
・長らくパドルを放置しても接点の腐食によるキーイングのミスを防ぎます。
・機械加工設備を用いる事なくDIYショップなどで販売されている部材を用いたので自作が容易です。
・自作のためキーイングの楽しみが倍増します。

                               令和3年5月3日 Ver.3A
                                JI1MDZ 伊東
  
1.無接点パドルの主なポイント
パドル接点の酸化、汚れによりキーイングミスが起こります。このため定期的に接点を磨く必要がありました。この作業を解消するためDIYショップなどで販売されている部品を活用し金属接点の無い無接点パドルを自作しました。
2.主な工具と材料
ハンドドリル、40~60Wの半田ごて、ステンレス用半田とフラックス、金切り鋏、、以下100均の調達品は糸鋸、透明ラッカースプレー(パドル基台の材質が珪藻土のため粉っぽいので仕上げに使用します)、小形スパナセット2組(ダブルナット締めに使用します)
3.自作内容の概略(詳細な寸法は巻末の図面を参照してください)
【3.1】 パドル板を固定する円筒型シャフトとパドル板の半田付けは番号①のように直角に半田付けします。
パドルレバーの回転軸となる円筒形シャフトの外径は5mm、シャフトを固定する固定用ビスの外径は3.5mmです。

径5mmの円筒形シャフトに径3.5mmのビスを入れるとビスが細く回転にガタが生じます。回転のガタを防ぐためビスの表面を②のようにステンレスの半田盛りをしてビスを太くします。

ビスを円筒形シャフトに入れた時にガタが無くスムーズに回転するようヤスリを用いて余分な半田を削り調整します。半田付けの幅は約18mmです。

円筒形シャフトの上部はUボルトプレート、下部は回転がスムーズになるようダブルナット、 ワッシャを用いて上下で円筒型シャフトを固定させます。③を参照してください。


【3.2】 光遮断片はステンレス板を巻末図面を参考に2枚切り、 各1枚を左右反対方向に90。折り曲げます。外来光による誤動作を防ぐため先端の10mmの両面は黒色のマジックインキを用いて塗りつぶします。⑤を参照してください。 

【3.3】 パドルレバーの先端と光遮断片の半田付けは④のようにパドル板と光遮断片の折り曲げ箇所が平面になるように して半田付けをします。
【3.4】 パドルパッドは透明アクリル板の上に巻末図面を参考にして切り抜き貼り付けて、糸鋸を用いてカットします。
 或いはカッティング作業の手間を省くためパドルパッドに似たプラスチック板はDIYショップ、100均など名前札として販売されています。これを利用する方法もあります。



注:ステンレスの半田付けは必ずフラックスが必要です。フラックスは酸性のため半田付け後は半田面を中性洗剤を用い洗い流してください。
4.組み立て後の各箇所の説明


パドル基台の背面には電子部品が収まるようにパドル基台と同じ物を購入し幅を9mmの馬蹄形に切断し背面基台としました。
パドル基台と馬蹄形背面基台の間隔は樹脂製10mmのスペーサーを用い電子部品、電池、スイッチ類等が収まるようにしました。

【4.1】 フォトセンサーの構造と配線
 フォトセンサーの上部はGaAsの赤外発光ダイオード、センサーギャップの下部はフォトトランジスタでこの両素子間を通過する物体を検知する透過形フォトセンサーです。
 なお、センサーの位置決めは最終の調整で微調整しますので仮止めの状態にして軽く固定します。
5.光遮断片とフォトセンサーの位置関係について
【5.1】 フォトセンサーの動作について。
フォトセンサーのON,OFF動作はPanasonicの仕様書から検知する物体の移動距離は0.25mm以上と規定されています。

回転軸となる円筒形シャフト、パドル板、光遮断片、フォトセンサーの位置関係を抜粋した図を下記に示します。
実機からキーイングする快適なギャップは0.3mmでした。
キーイングによるパドル板の移動角度を計算から求めると、回転軸となる円筒形シャフトからパドル止めビスまでの長さは28mmです。パドルの移動角度は下記の計算式により算出されます。
次に光遮断片先端の移動距離を計算します。回転軸の中心から光遮断片先端の長さは48mmです。
仕様書の0.25mmを超えフォトセンサーのON,OFF動作に支障が無い事が解りました。

【5.2】 センサー回路の構成について
センサーはオープンコレクタのフォトトランジスタとLEDの組み合わせです。便利な機能としてパドルのプラグがリグのキージャックに差し込まれていると黄緑色LEDが点灯しリグのキージャックを何度も確認する必要がありません。

また、リチウムイオン電池の放電終止電圧を検出するため電源ON表示の赤色LEDに直列に逆方向電圧5.1Vのチェナーダイオードを入れました。電池の終止電圧は単品で2.5V、直列接続なので5.0Vとなりますが設計上余裕をみて7V程度が適切と考えました。
そこで、チェナーダイオードの逆方向電圧5.1V+赤色LEDのVf(順方向電圧)2.1V、合計7.2Vの組み合わせとしました。実験では電池電圧が6.5V程度になると赤色LEDが暗くなります。このようになりましたら充電が必要です。

消費電流は実測で平均約32mAでした。使用しました単4リチウムイオン電池には1000mAhの表示がありますが70%程度の容量と見て700mAhとして1回の充電で22時間動作する事になります。
1ヶ月程度の連続の運用が可能です。

注:単4リチウムイオン電池の名称は単4では無く10440と表記されている場合があります。
6.外来光による誤動作対策について
屋内でキーイングする場合は外来光による誤動作はありませんが移動運用など太陽光が強い場所ではパドルの向きによりセンサーが太陽光を検知して誤動作する場合があります。
この対策として光避けのカバーを追加しました。

7.キーイング中のパドル基台の微動防止対策
パドル本体の重量は240gと軽く移動運用には便利で
すがキーイングすると基台が若干微動します。パドル
基台の微動を防ぐため、2枚の6mm厚の木板を使い
1枚は馬蹄形にカットしてもう1枚に貼り付けます。

基台にはUボルトプレートを2枚ネジ止めして重量を
増やしました。基台の重量は約120g、パドルの重量は
合計360gとなりました。              

また、木板を作成しないでパドル本体の底面に滑り止め
部材を馬蹄形部分に貼り付けてパドルの動きを防止する方法もあります。

8.フォトセンサーの位置調整方法について
パドルをリグ或いはキーヤーに接続します。
フォトセンサーを固定しているネジを少し緩めフォトセンサーを光遮断片から少しずつ外側へずらすとフォトセンサーが感知してリグ或いはキーヤーからCWの短点或いは長点の音が出ます。

次にフォトセンサーの位置を少し戻すと音が消えます。
この位置でパドルを操作してより安定なフォトセンサーの位置を探しネジ止めします。


9. 感想
DIYショップ内を隈無く部品を探していると意外なコーナーで部品が見つかる時があります。
例えばパドル板の位置を固定するφ12mmの円筒型の部品は水道関係のコーナーで見つけ一人でニヤニヤしながら買い物バスケットに入れました。

今後の改善箇所はパドルレバーの固定筒の位置を更に10mm程度回転シャフトに近づければ光遮断片の移動距離は計算上0.63mmとなり、よりフォトセンサーの位置調整が楽になると思われます。
以上
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