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◇ 投稿記事 ◇ JI1MDZ -98-   
“リチウムイオン電池18650を用いた移動用自作電源”    
2023.11.07 JI1MDZ 伊東
◆ 自作の切っ掛け

2年前に自作した移動用電源は扁平形リチウムイオンポリマー電池を使用していました。電池の内部抵抗が増大し、SSBの交信中、声が大きい時に電池の電圧降下が初期に比べて大きいように感じました。

JJ1PSM倉田さんから長方形の珍しいメーターを戴き、電池の残量表示に使えないか検討しました。
メーターは写真のように0から400迄の数値が記入されています。フルスケール1mAの電流計で見栄えを良くするため分解して目盛板にマーカーペンで色づけしました。
◆ 電池の残量表示について
満充電の時に電流計を1mAフルスケール、放電停止の時は電流0mAに表示する回路を検討しました。更に放電停止前に 交信終了準備のため警報音が出る回路を追加しました。なお、電源の電圧は満充電から放電停止電圧(16~13V)まで変動するので基準電圧として5V 3端子レギュレーターを使いました。【写真】長方形電流計
◆ 購入したリチウムイオン電池の容量測定
amazonから電池規格3400mAhの電池8本を購入、2本ずつ並列に接続してこれを4個直列接続にしました。
合計8本の容量として8x3400=27,200mAh 3.7Vx27.2Ah=101Whになります。容量測定では放電時の電流は測定時間を考慮して2Aとしました。放電の開始電圧は4Vx4=16V、負荷抵抗は16V/2A=8Ω、負荷の消費電力はP=8x2^2 32Wとなります。
放電による負荷抵抗の発熱量が大きいので高価なホーロー抵抗が必要です。代替えとして百均(DAISO)でスプリング式のカーテンワイヤーを負荷抵抗にしました。カーテンワイヤーのビニール被覆を剥がし8Ωになる1.7mにカットしました。同じ百均で珪藻土製の卵立てを購入しカーテンワイヤーを巻き付けてその下にお皿を置いて放熱対策としました。

写真左上にはBMS(Battery management system)基板でその下にプラスチック板を挟んで電池を配置しました。
リチウム電池の接続について、円筒形の電池陽極の箇所は電池内部の気密性を保つため樹脂製パッキンにより封止されています。陽極箇所に直接半田付けをすると熱により樹脂が変形し封止性能が極端に落ちます。このため、スポット溶接機をAliExpress(通販)で1145円と格安で購入出来ました。
溶接用バッテリーを除く総ての材料(溶接棒、バッテリーに接続する電源コード、ニッケルメッキシート、熱収縮チューブなど)が揃っています。同梱の8mm幅のニッケルメッキシートを使いスポット溶接し、電池間の接続はシートの先端にリード線を半田付けしました。

◆ 放電開始から放電停止までの電流、電圧、時間の実測値です。
(満充電の電圧が安定する約6時間後に測定開始)
電池の容量は各々の経過時間と放電電流値の積分値で、2個並列接続なので電池の容量は2x3400=6800mAhに対して測定した容量は6107mAhとなり約89.7%のまあまあの結果でした。放電開始直後の電圧が若干上昇していますがカーテンワイヤーの発熱による抵抗変化が原因と思われます。放電停止後の各電池の電圧を見ると2組目が一番低い電圧なので、この2番目の電池が最初に放電停止電圧に達したと思われます。(カットオフ電圧に達すると負荷電流は0となりリチウムイオンの挙動により若干電圧が回復します)

◆ 電源ボックスは百均(Seria)で購入しました。
ボックスのサイズは横幅10.5cm,奥行17cm,高さ7.5cmです。取っ手もあるので持ち運びは便利です。
電池回路基板等をボックスに固定するビス、ナット、ワッシャは総て樹脂製としました。
金属製の場合、万一ボックス内で外れたら電池のショートなどによる破損を防止する理由です。

電源の入出力端子はディスクトップパソコンのマザーボードのCPUに直接電源を供給するコネクタ付き延長コードを購入しました。
監視回路の電源スイッチはボックスの側面に配置しました。電源を使用しない時はボックス内にコネクタを収納します。使用する時はボックスの切欠箇所からケーブルを出してリグの電源コネクタに接続します。
◆ 電源が完成したので移動運用前に自宅で動作の確認をしました。
メーターの針はSSB、30W出力設定で3目盛程変動、20W,CW出力で5目盛程変動しました。また、容量が0に近い状態で目盛がどの位置でアラームが鳴り出すのか気になりました。
SSBで交信中に電源が落ちると相手に失礼なので誰も出ていないコンディションの落ちたバンドを選び、CQを出してアラーム音に注力していました。
メーターの針が0から5目盛の位置で音声が大きくなる瞬間にビ、ビの音がなり始め、最後はピーと鳴りっぱなしになり警報回路が正常に動作している事が分かり安心しました。【写真】
CPU電源延長コネクタ
◆ 鷹取山移動運用
鷹取山移動運用はベンチの背もたれにFT-857をかけ、ベンチに電源を置くスタイルです。自作の7mバーチカルアンテナ+ATU-100、7MHzでSSB,30W設定で交信を開始しました。
1,2,3エリアと交信後に電池の残量計を見たら70%程度でした。他のバンドに出ようとしましたが、風が強くアンテナの曲りが強くなって来たので残念ながら中止しました。
◆ 今後は
今後はこの自作電源がどのような活躍をして行くのか楽しみにしています。
【2023.11.07 JI1MDZ 伊東 記】
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